コウモリの赤ちゃん発見!?そ~っと保護…する前に!対処法を学ぼう

いつもどおり玄関まわりを掃除していたら、見慣れない生き物が……。「もしかして、これって、コウモリの赤ちゃん?」そんな出来事に遭遇してしまうこともあるかもしれません。
コウモリの赤ちゃんはなかなか見かける機会もないので、つい「助けてあげたい」「どうやったら保護してあげられるの?」と考えてしまう方もいるでしょう。逆に、「気味が悪いから、処分してしまいたい」と思う方もいるかもしれませんね。
そこで今回は、もしコウモリの赤ちゃんを見つけてしまった場合、どのように対処すればよいのかについてご紹介していきたいと思います。ぜひこの記事を参考に、適切な対応をしてあげてくださいね。
▼コウモリの赤ちゃん、不用意に触らないで……
見た目の可愛いコウモリの赤ちゃんは、つい指でなでてあげたくなってしまうかもしれません。しかし、不用意に触る行為はとても危険です。素手の状態で赤ちゃんコウモリに触れるのは絶対にやめましょう。
ここでは、コウモリの赤ちゃんを扱う際の注意点をご紹介いたします。
◆可愛くても素手で触るのはキケン
コウモリは、汚い下水道の中や、ホコリっぽい屋根裏などに生息していることが多いため、身体に寄生虫やウイルスをたくさん保有しています。人間が直接コウモリの体に触れてしまうと、コウモリが体に保有しているシラミやノミ、ダニ、細菌などによって、感染症を引き起こしてしまうことも考えられるのです。
また、警戒心の強いコウモリは、人間に触れられると噛みついてくることがあります。少しでも噛みつかれてしまうと、素手で触った時と同様に、ウイルスなどに感染してしまう危険性があるでしょう。
「赤ちゃんコウモリなら、まだ菌に感染していないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、その考えは甘いです。ほぼ確実と言ってよいくらい、コウモリの赤ちゃんも細菌などを保有していると考えてよいでしょう。
◆法律違反となるおそれもある
コウモリは鳥獣保護法の保護対象となっている動物であるため、無断で飼育したり、勝手に殺傷したりすることは禁じられています。
違反すると罰則を受ける場合もありますので、コウモリの赤ちゃんを見つけても、「可愛いからペットにしよう」と考えることはやめましょう。「不気味だから」と言って、勝手に殺処分しようとするのも言語道断です。
なお、こうした法令に違反し、勝手に飼育や殺傷などをおこなってしまうと、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されてしまう可能性があります。注意しましょう。
▼コウモリの赤ちゃんを保護できるケース

「飼育も殺傷もできないなら、ここにいる赤ちゃんコウモリはどうすればいいの?」と思う方もいるでしょう。実は、コウモリの赤ちゃんは、保護できるケースがあるのです。ここでは、どんな場合であれば赤ちゃんコウモリを保護してもよいのかをご紹介します。
◆ケガ、衰弱などが見られるなら保護が可能
もし発見した赤ちゃんコウモリが、栄養失調などであきらかに衰弱していた場合は、保護することが許されています。また目に見えるようなケガをしていた場合も、保護の対象です。軍手などをしてから赤ちゃんを抱えたら、自宅に入れて、水分などを与えてあげましょう。可能であれば、虫などの餌も与えてあげると回復が早くなります。
ただしこうした保護はあくまで一時的に許可されているものであり、ケガや衰弱が完治してもなお飼育を続ける、ということはできませんので、注意が必要です。
◆赤ちゃんと成獣の見分け方
コウモリは元々小さな動物であるため、保護したコウモリが赤ちゃんコウモリなのか、大人のコウモリなのかは、よくわからない場合もあるかもしれません。そういった場合は、彼らの体毛に注目してみてください。
一般的に成獣のコウモリは、全体的に体が褐色であるはずです。一方で赤ちゃんコウモリは、全体的に黒に近い色で、サイズも成獣より一回り小さいのが特徴です。
赤ちゃんコウモリなのか、大人のコウモリなのかによって、餌を食べる量なども変わってきますので、保護した際は、どちらであるのかを見分けるようにしましょう。
▼コウモリの赤ちゃんの育て方
さて、ケガや衰弱の見られるコウモリの赤ちゃんであれば保護ができる、と分かったところで、「具体的にどのようなお世話をすればよいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこでここからは、コウモリの赤ちゃんの育て方についてご紹介していきたいと思います。
◆水の飲ませ方
コウモリの赤ちゃんは水を飲みますが、人間のようにコップに直接口をつけて飲むことはできません。水を飲ませる場合は、まずスポイトに水を入れて、赤ちゃんの口元へ持っていき、少しずつ押し出しながら与えます。スポイトが家にない場合は、ガーゼなど吸水性の高い素材に水分を含ませて、それを吸わせる、という方法もあります。
もし余裕があれば、ペットショップなどに売っている動物向けのミルクなどをあげてもよいでしょう。
◆餌は何をあげればいい?
コウモリの主食は虫になりますので、餌には小さな虫を与えましょう。なお自分で虫を調達するのはなかなか難しいので、釣り具ショップなどへ行き、魚用の餌(ミルワーム)などを購入するのが便利です。
なお餌をあげる際も、餌と間違えて指を噛みつかれてしまうことがありますので、ピンセットなどを使って与えるようにしましょう。赤ちゃんコウモリのお世話をする場合は、常に「手で直接触れてはいけない」ということを念頭におこないましょう。
◆コウモリの巣立ちはいつ?
一般的な野生のアブラコウモリの場合は、生まれてから1ヶ月程度で巣立ちします。拾ったコウモリの赤ちゃんも、だいたいそのくらいの期間が経てば、独り立ちできる頃合いであると考えてよいでしょう。
ただし、この「1ヶ月程度」という巣立ちの時期は、野生で順調に育ったコウモリの場合です。コウモリの母親が出す母乳は非常に栄養価が高く、これを飲んでいるためにわずか1ヶ月程度で巣立ちができるともいわれています。よって、人間が保護した場合、栄養が足らず、巣立ちにはもう少し時間がかかることもあるでしょう。
アブラコウモリは通常、春から夏にかけて子供を産み、生まれてから1ヶ月後くらいに巣立ちをします。つまり、暖かな夏の日に巣立っていくのです。こうしたことから、保護した赤ちゃんコウモリを自然界に帰してあげる場合も、なるべく暖かい日を選んであげるとよいかもしれません。
◆困った時は、保健機関に相談を
ケガや衰弱が完治したあとも、「まだ赤ちゃんだから、もう少しめんどうをみてあげよう」と思う方もいるかもしれません。しかし、コウモリに関しては、個人が勝手に「いつまで保護するか」を決めてはいけません。赤ちゃんコウモリをいつまで保護しておくかについては、最寄りの自治体などに判断を求めましょう。
また、保健機関などに相談をすれば、保護の方法や野生へ帰すタイミングなどについて、アドバイスをもらえる場合があります。さらに地域によっては、環境管理事務所と呼ばれる、環境を専門に扱う行政機関がある場合もあります。困った時は、こうした機関にぜひ相談してみるとよいでしょう。
▼時期が来たら自然に帰そう

赤ちゃんコウモリのケガや衰弱などが完治したら、自然界に帰しましょう。「どこに戻せばよいのかわからない」という場合は、最寄りの自治体などに相談をしてください。保護窓口が、赤ちゃんコウモリを引き取ってくれるはずです。
別れ際は少し寂しいかもしれませんが、コウモリと人間が一緒に暮らすことはできません。「元気に生きていくんだよ」と祈りながら、赤ちゃんコウモリを笑顔で送り出してあげましょう。
▼屋根裏や軒下にコウモリ被害が起きていませんか?
さてここまでで、赤ちゃんコウモリを保護した場合の対処方法についてご紹介してきました。しかし、可愛いコウモリの赤ちゃんを保護しただけで、満足してしまってはいけません。コウモリの赤ちゃんが家の近くで発見されたということは、つまり自宅にコウモリが住み着いてしまっている可能性があるのです。
気がつかない間に、屋根裏や軒下などがコウモリ被害に遭っているおそれも……。コウモリの赤ちゃんを発見したら、まずは自宅がコウモリ被害に遭っていないかを確認してみてください。糞がたくさん落ちている場所はありませんか?
コウモリのする糞は、「糞害(ふんがい)」などとも呼ばれ、人間の身体に危険を及ぼすことがあります。ニオイのキツさもさることながら、風などよってコウモリの糞が空気中に飛散し、それを人間が吸い込んでしまうと、感染症を引き起こしてしまうこともあるのです。
「屋根裏や軒下にコウモリがいる気がするけれど、自分で調べることができない……」といった場合は、ぜひコウモリ駆除業者に点検を依頼してみましょう。プロに依頼をすれば、コウモリが住み着いているかどうかの調査から、実際の駆除までを丁寧におこなってくれます。
先述のとおり、コウモリは鳥獣保護法によって勝手に殺傷することが禁止されています。こうした駆除業者を利用することで、なるべく円満に家から追い出すようにしましょう。
▼まとめ
さて今回は、コウモリの赤ちゃんを見つけてしまった場合の対処方法についてご紹介してきました。そうそうあることではありませんが、もし万が一コウモリの赤ちゃんを発見してしまった場合は、ぜひこの記事を参考にお世話をしてみてくださいね。
またコウモリの赤ちゃんは、その他大勢のコウモリたちの存在を暗示しています。赤ちゃんコウモリに遭遇してしまったら、一度自宅がコウモリ被害に遭っていないかどうかを確認してみるとよいでしょう。
人間とコウモリは同じ屋根の下に暮らすことはできませんが、衰弱していた時には積極的に保護をするなど、よい距離感を持って共存していきたいものですよね。普段はあまりコウモリと接する機会がないかもしれませんが、いざという時にこの記事が参考になれば幸いです。
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